医療法人白秀会 加藤クリニック新規患者数 要因分析

新患はどこで消えているか

「妊娠の新規患者が減っている」という課題について、アクセス解析と広告配信の実データで検証しました。結論から申し上げると、需要は落ちていません。落ちているのは、その需要を予約に変える通過率です。

比較の基準:全ての数値は「各月1日〜19日」の同一19日間で集計した実数です。8月がまだ経過中のため、月全体の合計や日平均ではなく、どの月も同じ19日間に揃えています。

比較基準 各月 1日〜19日(19日間)
作成日 2026年8月20日

新規患者の「需要」は落ちていません。落ちているのは、需要を予約に変換する通過率です。

仮説2 ——「新規患者は落ちていないが、予約システムの変更で新規予約が取れないでいる」—— を、Web上の数値は明確に支持します。仮説1(新規患者そのものの減少)は支持されません。

ただし、予約システムとは独立した第二の要因が併存しています。同じ予算でGoogle広告のクリックが6割減っていることです。入口が細くなり、その先の通過率も半減しました。

新規訪問者が産科ページへ到達したセッション数
2月1〜19日 → 8月1〜19日
1,4761,448
▲1.9% ほぼ同数
そのうち予約システムへ移動したセッション数
2月1〜19日 → 8月1〜19日
391203
▲48.1%
通過率
産科ページ到達 → 予約システム
26.514.0%
▲47%
01

需要は落ちていない

まず、そもそも人が来ているのかを確認します。各月1〜19日で揃えると、サイト全体のセッションは2月24,159件、8月23,004件(▲4.8%)。新規セッションに限れば15,366件 → 16,486件で +7.3% と増えています。

なぜ「各月1〜19日」で比べるのか。8月はまだ経過中のため、月の合計をそのまま2月と並べると8月が不当に小さく見えます。日平均に直す方法もありますが、月ごとの曜日構成の差が残ります。そこで本レポートはどの月も1日〜19日の19日間に固定し、実数のまま比較しています。

お盆の影響も確認済みです。8月1〜19日はお盆期間を含みますが、お盆のない7月1〜19日でも同じ結論が出ています(産科ページ到達1,473件・予約システムへ225件・通過率15.3%)。季節要因では説明がつきません。

GA4管理画面の見え方にご注意ください。6月以降「新規ユーザーが急増」して見えますが、これは実体ではありません。新予約システムのドメイン yoyaku.atlink.jp が別ドメインとして計上され、そこへ移動した方が全員「新規ユーザー」として二重カウントされているためです(第5章)。本レポートの数値はその分を除外した実数です。

産科ページへの到達は、自然検索ではむしろ増えている

/medical/obgyn/(産婦人科)と /medical/guide/(出産について)に到達したセッション数を、流入経路別に分けたものです。

産科ページに到達したセッション数

経路別 · 各月1〜19日の実数

自然検索 Google広告
01,0002,000 2月4月6月7月8月 1,494 1,649 783 335
自然検索からの到達は 1,494 → 1,649件(+10.4%) と増加しています。減っているのはGoogle広告経由(783 → 335件、▲57.2%)です。市場の需要が縮んだのではありません。

主要ページの閲覧数

ページ2月4月6月7月8月2月比
/medical/obgyn/ 産婦人科1,4351,2181,4541,2461,104▲23%
/medical/guide/ 出産について1,7881,6911,7321,7791,534▲14%
/medical/obgyn/plan/ 分娩プラン1,1431,2171,3481,1351,121▲2%
/medical/obgyn/mutsu/ 無痛分娩791859989767773▲2%
/medical/obgyn/prenatal_test/ 出生前検査459437593620527+15%
/reservation_status/ 分娩予約状況9869151,392961731▲26%
/reservation/ 予約について1,8025,0474,9084,3053,536+96%
/medical/gyn/ 婦人科1,8681,7761,6161,4941,369▲27%

各月1〜19日のページビュー数。産科ページは1〜2割減っていますが、これは上でみた広告流入の減少で説明がつく範囲です。分娩プランと無痛分娩はほぼ横ばい(▲2%)、出生前検査は増加しています。「予約について」ページはむしろ倍増しています——4月の導線変更で、全ページからここに集約されたためです。

02

決定的な変化 — 予約への通過率

コンバージョン数は6月の計測変更で定義が変わり、前後比較ができません。一方、「サイトから外部予約システム(旧ドクターキューブ/新@link)へのリンククリック」は前後で同じ計測方法です。これで比較します。

本レポートでは2つの通過率を使い分けています。混同しないようご注意ください。

① 全体の通過率(26.5% → 14.0%) 産科ページを見た新規訪問者のうち、サイト内のどのページからでも予約システムへ移動した割合です。「予約について」ページ経由に限りません。2月時点ではトップページや各診療ページからも直接飛べていたため、それらを全て含みます。

② 予約ページからの通過率(62% → 42%) こちらは /reservation/「予約について」ページに到達した新規訪問者のうち、予約システムへ移動した割合です。ページを1枚に限定した見方です。

①が「新患が予約システムに辿り着けた総量」、②が「予約ページ自体の効き具合」を示します。①②どちらも同じように落ちています。

新規訪問者は、入口までは来ている。その先で半分が消えている

セッション数 · 新規訪問者のみ · 各月1〜19日の実数

2026年2月1〜19日(旧予約システム) 2026年8月1〜19日(新予約システム)
STAGE 1 — 産科ページに到達 2月8月 1,4761,448 差は ▲1.9%。需要は届いています。 STAGE 2 — 予約システムへ移動した 2月8月 391203 差は ▲48.1%。ここで消えています。 通過率 26.5% → 14.0% (▲47%)
2つの棒は同じ横軸で描いています。上段はほぼ同じ長さ、下段は半分。入口の人数は変わらず、そこから先だけが落ちていることが見て取れます。お盆のない7月1〜19日も1,473件 → 225件(15.3%)で同じ傾向です。

通過率は6月に段差がある

/reservation/ ページに到達した新規訪問者のうち、予約システム(旧ドクターキューブ/新@link)へ進んだ割合です。

「予約について」ページ → 予約システムへの通過率

新規訪問者 · 各月1〜19日

0%30%60% 6/1 予約システム変更 55.9 43.4 42.1 2月3月4月5月6月7月8月
約62%から約42%へ、20ポイントの低下。段差の位置が6月1日の予約システム変更と一致しています。

流入構成の変化ではありません

「広告が減ったから、質の高い流入が減っただけでは」という説明が成り立つか、経路を固定して検証しました。産科ページに到達した新規訪問者の、予約システムへの通過率です。

経路2月4月6月7月8月2月比
自然検索 · 新規20.6%15.5%13.3%13.4%12.9%▲37%
Google広告 · 新規35.6%35.4%23.2%22.3%18.0%▲49%

どちらの経路でも同じように落ちています。流入の質が変わったのではなく、サイトと予約システムの側で起きた変化です。

03

何が通過率を落としたか

原因 1 — 利用登録の壁(完走率 36〜48%)

新予約システム@linkは、予約の前に「ご利用登録」が必須です。GA4に記録されている@link内のページ遷移から、その完走率を実測しました。

各月1〜19日登録開始
(規約同意)
情報入力確認画面登録完了完走率
6月1,08742840139736.5%
7月90342239940745.1%
8月68135633232447.6%

セッション数。登録を始めた方の半数以上が、登録を終える前に離脱しています。登録完了数そのものも 397 → 324件へ減り続けています。

原因 1-b — 脱落はほぼ全て「最初の1段目」で起きている

上の表で落ちているのは、ほぼ全て登録開始 → 情報入力の間です(8月で通過52.3%、6月は39.4%)。その先の情報入力 → 確認 → 完了はほぼ全員が通過しています。つまり問題はフォームの長さではなく、その手前にあります。

この1段目は、長い利用規約への同意画面で、その先に空メール送信によるメール認証があります。実際に「空メールが送信できない方」「メールが届かない方」のヘルプページには、6〜8月で計487セッションが到達していました。

この手順は、予約ページ上でも次のように案内されています。

利用規約をご確認いただき、空メールを送信してください。当院からのメールを送信いたします。メールに記載されたURLをクリックしてください。
※iCloudメールは当院からのメールを正常に受け取れないことがあります。Gmailなど、ほかのメールアドレスのご利用をおすすめします。 www.katocl.jp/reservation/「ご利用登録の方法」より

空メールの送信、受信メール内URLのクリック、そしてiCloudメールでは届かないという制約。この3つを越えられた方だけが次の画面に進めます。実測の通過率39〜52%は、この難所の大きさをそのまま表しています。

この数値の測り方。予約システム内のページにも計測タグが設置されているため、登録画面の遷移が1画面ずつ記録されています。上表は「登録開始(規約同意)」「情報入力」「確認」「完了」の各画面に到達したセッション数です。画面がこの順序で表示されていることは、実際の閲覧順を測定して確認済みです。診察券をお持ちの方の再登録は別の画面群を通るため、除外しています。

原因 2 — 未ログインでは予約メニューが見られない

予約メニューのURL yoyaku.atlink.jp/katocl/resv に未ログイン状態でアクセスすると、本日実測で次の画面が返りました。

エラー
セッション切れもしくは、想定外の操作です。
長時間放置等行うとこの画面になることがあります。お手数おかけいたしますが、もう一度ログインからやり直してください。 yoyaku.atlink.jp/katocl/resv — 2026年8月20日 実測

初めての方は、どんな予約枠があるのか・空いているのかを見ることすらできません。「まず登録してください」と言われて終わります。旧ドクターキューブでは登録なしで空き枠を見て予約できていました。新患にとってのハードルの差は非常に大きいものです。ログイン画面までは19日間で2,218〜3,054セッションが到達しており、そこから引き返している方が相当数います。

原因 3 — 予約導線が全ページから消え、1クッション増えた

予約システムへのクリックが、どのページから発生していたかです(クリック回数)。

発生元ページ4月1〜19日8月1〜19日
/reservation/ 予約について2,0181,106
/ トップページ5660
/medical/guide/ 出産について1070
/medical/gyn/ 婦人科550
/medical/obgyn/ 産婦人科100
/reservation_status/ 分娩予約状況70

本日ソースを確認したところ、トップ・産婦人科・出産について・分娩予約状況のいずれも、予約ボタンのリンク先が /reservation/ に変わっていました。以前は各ページから直接予約システムへ飛べていたものが、「予約について」ページを1枚挟む形になっています。トップページからの直接導線だけで、4月は19日間に566回使われていました。

原因 4 — 広告費は増えているのにクリックは6割減

各月1〜19日表示回数クリック費用クリック単価
2月57,3825,787¥167,475¥29
3月54,5425,125¥153,681¥30
4月46,8175,248¥158,295¥30
5月30,6811,788¥105,304¥59
6月29,5051,680¥70,481¥42
7月55,8092,115¥150,977¥71
8月52,3782,121¥236,891¥112

同じ19日間の比較です。2月と8月で、費用は ¥167,475 → ¥236,891(+41%)と増えているのに、クリックは 5,787 → 2,121 回(▲63%)。クリック単価が ¥29 → ¥112 と3.9倍になっています。これが第1章でみた「広告経由の産科ページ到達 ▲57%」の直接の原因です。

原因 4-b — 8月中旬から広告費が急に増えています

8月の日別費用です。月前半は1日 ¥7,000〜¥13,000 で推移していましたが、8月14日以降に跳ね上がっています

日付クリック費用クリック単価
8月4日108¥10,995¥102
8月8日76¥6,651¥88
8月13日96¥10,085¥105
8月14日153¥21,119¥138
8月15日133¥16,510¥124
8月16日217¥27,394¥126
8月17日185¥25,472¥138
8月18日168¥15,827¥94

19日間で ¥236,891 を消化しており、これは例月の1か月分(¥222,000〜¥243,000)にすでに達しています。このままの推移だと8月は月 ¥37万前後になる見込みです。意図した増額でなければ、日予算と入札設定の確認をおすすめします。

04

2つの仮説への回答

仮説 1 — 支持されない

新規患者が落ちている

新規訪問者の産科ページ到達は、同じ19日間で 1,476 → 1,448 件とほぼ同数(▲1.9%)。自然検索経由に限れば 1,494 → 1,649 件と +10.4% 増えています。市場の需要は縮んでいません。

仮説 2 — 支持される(主因)

新規患者は落ちていないが、予約システムの変更で新規予約が取れないでいる

同一定義で測れる通過率が 26.5% → 14.0% に半減。経路を固定しても同様に低下します。利用登録の完走率は36〜48%で、脱落はほぼ全て「規約同意+メール認証」の1段目で起きています。

予約の取り方が変わり、再診ばかりで新規患者獲得の受入ができていない」という見立ては、Web上のデータと整合します。@linkはログイン前提の設計で、すでに登録済みの方(=再診)には快適に初めての方には高い壁として機能しています。

ただし、もう一つ独立した要因が併存します。入口が細くなり(広告クリック▲63%)、入口から先の通過率も半減した(26.5%→14.0%)——この2つが重なって、新規予約に届く人数が大きく減っています。

05

打ち手

  1. 予約ページの「ご利用登録の方法」を、初めての方向けにページ上部へ引き上げる現在はアプリ案内などの後ろにあり、初回の方が最初に見る位置にない費用 0円半日
  2. 空メール認証のつまずきを、登録ボタンの直前で先回りして伝えるiCloudメール不可・迷惑メール設定・届かない時の連絡先を明示。最大の損失点費用 0円半日
  3. トップ・産婦人科・出産について・分娩予約状況に予約システムへの直接リンクを復活4月は19日間に638回分の導線があった費用 0円半日
  4. 8月中旬からの広告費急増について、日予算と入札設定を確認19日間で例月1か月分を消化・月¥37万ペース費用 0円即日
  5. @linkベンダーに、未ログインでも予約メニューと空き枠を閲覧できるか確認・要望新患離脱の根本原因要確認
  6. Google広告のCPC高騰への対応(キーワード構成・部分一致の見直し)クリック単価が2月比3.9倍費用 0円別途

1〜4は追加費用0円で実施できます。とりわけ1と2は、最も多くの方が脱落している一点を直接ふさぐ施策です。効果の大きさに対して着手コストが小さいため、まずここからをおすすめします。

06

本分析の限界

正確を期すため、明示しておきます。